
あなたも生活保護の受給者になる可能性もあります。。
数年前、「生活保護」をめぐって、日本中が大論争になりました。生活保護の「不正受給」が話題となり、「働けるのにズルい」「怠けているだけだ」と、怒り出す人がたくさん出てきたんですね。
そんな時代もあったのですが、今や、日本が不況であることは当たり前となり、コロナによってダメージを受けた人も増えたことにより、生活保護に対する世間の印象も変わってきたと感じます。
「自分は今のままで、一生、食べていけるだろう」と言って慢心して生きるより、「いつ働けなくなるだろう?」とシミュレーションして生きるほうが現実的になってきましたよね。
僕は、大学を卒業して以降、まともに就職したことがありません。
だから、常に「最悪のパターン」を想像して生きています。いつ生活保護をもらう立場になってもおかしくないとは思っていたんですよね。
うつ病で家から出られなくなったり、事故で大怪我をしたりするリスクは誰にでもあります。
さまざまな事情で働けなくなる可能性は常にあるのです。
ただ、特に心の病気は、素人では見た目で判断できないので、怠けているように見えるのかもしれませんよね。
そうした想像力を社会全体が持つことによって、「生活保護」は最後のセーフティネットとして存在しているわけです。
努力を強要する人々
私たちには、自分のことは自分で守る「自助」の精神があります。ただ、それだけでは支えきれないので、周りの人に助けてもらう「共助」、あるいは、国が助けてくれる「公助」という考えがあります。
自分の人生を自分の意志の力で切り抜けたと思っちゃっている人は、「自助」の精神しか存在しないと思い込んでいます。
そして、働かない人に向かって、「自分はこんなに頑張っているんだ」「あなたにもできる」と、努力を押し付けます。
働ける人は、勝手にどんどん働けばいいんです。どんどん働いて、どんどん稼げばいい。そのぶん、いい暮らしができるようになりますから。でも、それを第三者に押し付けることはやめたほうがいい。
働けない人がいることを認めてあげることは、働く人にとってもメリットがあります。なぜなら、私たちは生活を支えるために働いているというよりは、他者や他社と競争することでより大きな売上を得ようとしているからです。
必要な食料やお店は、日本の場合なら、最低限、揃っています。しかし、供給過多により、私たちは市場で競争をしています。コンビニ1つあればいい場所でも、2つも3つも立ち並び、苛烈な競争をしています。
その競争に参加して、1円でも多く稼ぎたい人は、頑張ればいい。でも、それに合わせられない人だっています。無理をして体や心を病んでしまう人もいるのです。そんな人を競争に引き戻す権利なんて誰も持っていません。
つい、働かないことに対して、後ろめたさを感じたり、世間体を気にしたり、親の意見を気にしたりする人が多くいます。でも、働けない人がいることを当然のように考えておいたほうが、社会は豊かなんじゃないかと僕は思います。

役所の水際作戦で生活保護が受給できない!
とはいえ、世の中、「生活保護をもらうのが大変だ」という声がよく聞かれます。役所の窓口に相談したら、「親戚に頼ってください」「本当は働けるんじゃないの?」と、断られるケースがほとんどだからです。
もちろん、不正受給は防ぐべきですが、必要な人がちゃんと受けられる世の中にしたほうがよいと思います。
まず、「申請書」はネットからダウンロードできるので、それを事前に用意して渡すようにしたほうがよいでしょう。その際、「相談する」のではなく、「申請する」という態度で臨むようにしましょう。違法な理由で断られることを阻止するためには、会話を「録音する」のも重要です。
東京の場合だと、生活費は大体5~6万円が、家賃として平均7万円ほどが得られます。病気になった場合、医療費は不要です。そういった権利があることを、まず知っておきましょう。いつ、誰がもらうようなってもおかしくないと思って生きるようにしたほうがいいですよ。