
お金持ちには快適な国
日本は安い国になりつつあります。これは事実。そしてお金を持っている人にとっては、
すごく快適な国です。ビジネスをするときには低い給料で人を雇えるし、オフィスでも住宅でも家賃が安い。ご飯が安くておいしい。治安もいい。
この日本の「快適さ」の裏にあるのは、人のコストが安いということです。そしてなぜ安いかというと、非正規労働者という立場の弱い働き手がいるから。
労働者はずっと雇ってもらえるという安心感がないと、雇う側と対等に戦えない。「働けなくなったら怖い」なんて思って、嫌でもサービス残業を受け入れてしまう。日本は最低賃金が低いのに、サービス残業まで受け入れているから、実際の時給に換算するとかなり低くなりますよね。
20代ならまだしも、30代や40代になって非正規で体を壊しでもしたら「あ、俺もうアウトだわ」ってなる。お金はなくて、自分の頭脳と肉体しか戦えるものがないという人にとっては、日本はすごく厳しい国です。要は金持ちには快適で貧乏人は厳しい社会です。
老人がコンビニで普通に働いている国、日本
東南アジアに近づいている?
フランスには派遣労働がなくて、人のコストが高い(注:フランスにも派遣のような間接雇用の制度はあるが、厳しい制限が設けられている)。
だから企業は人間の代わりに機械を使ってコストを下げようってなる。日本は機械の導入コストより安い人件費を安易に選びます。
たとえばファストフード店には大体、タッチパネル式の注文端末が導入されていて、人が注文を受けることがすごく少なくなっています。
それが日本だと今でも、「人のぬくもりが大事」なんて言って、人を減らす方向にいかないじゃないですか。
もう一つ、パリから日本に戻って気がつくのは、高齢者がコンビニエンスストアやスーパーなんかで普通に働いていることです。これはパリではなかなか見かけません。
フランスは元々、「働かないのが当たり前」というところがある社会ですから、高齢になったらすごく貧しい人以外はリタイアするものだとみんな思っている。
日本以外だったら東南アジアの国々でも、かなり高齢のお年寄りが一生懸命働いているじゃないですか。
そういう国に、日本は実態としてかなり近くなっているんでしょう。昔なら年金で悠々自適な生活ができていたのが崩れてくれ来てしまいました。
庶民は無知で勝手に潰れていく
日本の政治家は超楽ちんだ お金持ちと同様に、政治家にとっても日本はすごく快適な国です。
日本は個人に自助や自己責任を強く求めるので、大失敗した人に対して政治家が何かしてあげる必要がない。庶民は自助で勝手に潰れて、というのが許される国は、政治家にとっては超楽ちんですよ。
それでも国民の多数が「このままでいい」という投票行動をしている間は、ずっとこのままなんじゃないですか?20代、30代の若い人も、年金がもらえなくなる未来がまだまだ先なので「自助でいいじゃない」と思っているんでしょう。
日本って毎年40万人ぐらい人口が減っていて、経済成長率も先進国の中では最低レベルじゃないですか。
全体が小さくなって、椅子取りゲームの椅子がどんどん減っているような状況です。
問題はそれに気付いているのあえて放置している政治家や高齢者です。
だから日本で才能のある若い人が頑張っても「こいつに任せてみよう」というのが起きなくなっている。
そして政治権力に近い人ばかりで椅子を回そうとなっています。民間で一生懸命働くより、政府と仲良くするほうが儲かります。
これって、アフリカの発展途上国のモデルに近いです。強い産業がなくて、国民の大半は貧しいんだけれど、政府に近い筋の人はめちゃめちゃお金を持っている。
そういうイメージの国に、日本はなりつつあります。 僕はそういう日本を「頑張って良くしよう」と思うより、他の国に行ったほうがいいよね、と考えるタイプ。日本を悲観するよりも、もっと将来に夢がある国があるじゃないと考える。
しかしながら、それも経済的余裕がなければ視野にはって来ませんが。
そうやって日本を出られる人は海外を選ぶ時代に、日本はもうなっちゃっていると思いますよ。