
冗談のつもりでも?
「あなたは橋の下で拾ってきた子どもだから」 そんな冗談を親から言われたことがある人もいるかと思います。
親は冗談のつもりで言ったことでも、子どもは傷つくことがあるわけですが、僕は冗談の中身よりも、まず冗談として受け止めてもらえない関係に問題があると考えています。
良好な関係性を構築できていれば問題ありませんが、それは親が判断するこどはありません。肝心なのこどもどう感じるかです。
これは親子関係だけでなく、友人や職場の同僚でも言えることですが、何かを言ったときに、相手が「冗談として面白がってくれるか?」「本気でとらえてしまうか?」の境があやふやな関係では言うべきはないでしょう。
逆に、冗談をわかり合える関係なら「川で拾ってきた」とか言っても問題ないわけです。

消極的な子どもに育ってしまう
しかし、関係性があっても言ってはいけない冗談もあります。それは、性格や才能といった客観的指標のない事柄に対するマイナス評価です。
「あなたには向いていない」
「絵の才能ないね」
「走るの速くないよね」
ある上場企業の創業者は、親から「お前は人に好かれない性格だ」と子どもの頃、言われ続けたそうです。
その人はそれが原因で何か行動を起こすとき、二の足を踏むようになったそうですが、40歳を過ぎた頃「なぜその言葉を言ったのか?」を親に確認しました。 親の返答は「まったく覚えていない」だったそうです。
親からの否定は客観性がなくても子どもは信じてしまう
また、「お前には音楽の才能がない」と冗談で言ったとしましょう。「才能がある」根拠を示すことは難しいわけですが、「音楽の才能がない」という客観的な根拠もないわけです。
このように本当かどうかわからない事柄に対してマイナスの評価をしてしまうと、その人はそれを覆す材料を見つけられないまま、自分がダメであると感じてしまいます。

たとえ冗談で言ったことであろうとも、打ち消すことができないわけです。
それが親から言われたことであれば、なおさら子どもは素直に受け入れてしまいます。 「橋の下で拾ってきた子どもだから」 これは調べれば嘘であることはわかるので、事実と違う冗談として伝えても大した問題ではありません。
信じる心が子どもを救う!
個人差はあるにせよ、大抵の物事は膨大な時間をかけて学べば、それなりのレベルになります。 「できない」「才能がない」と冗談で言ってしまうと、その子どもが能力を発揮したり身につけたりする可能性が下がります。
オリンピックに出場するわけではありませんからね。
逆に、プラス評価を冗談でも言うと、子どもはやる気を出して、才能にかかわらず、それなりのレベルに到達する可能性があるわけです。 親の冗談で子供の可能性を閉じるのは問題です。
冗談を言うなら、子どもとの関係を考慮するのは当然として、「君なら絶対うまくいく」みたいな、根拠なくとも信じてくれる人がいると思えるようなプラスの言葉をかけてあげるべきと思うのです。