
子どもの「人生の可能性」をせばめるの?
世の中は、どんどんネット社会になっています。そんな状況で、子育てをしている親御さんは、子どもに早めにコンピューターに触れさせたいと思うことも多いのではないでしょうか。
ただ、子どもが欲しがるのは、iPadのような「タブレット型のPC」でしょう。
たしかに、機能やスペックだけを見るとパソコンと同じに見えるかもしれませんし、操作も簡単そうで「子どもでも使いこなせるだろうな」と思うはずです。
しかし、ここに、「大きな落とし穴」があります。普通のパソコンを選ぶか、タブレット型PCを選ぶか、はたまたスマホを買い与えるかで、子どもの将来の可能性をせばめてしまう危険性があるのです。
つまり、我が子の人生を変えてしまう選択になるのです。
消費者になるか、クリエイターになるか
まず結論を話しておきましょう。
「タブレット型のPC」は、子どもを「ただの消費者」に変えてしまいます。
なぜなら、はじめからアプリが搭載されており、アプリストアで単純なゲームがすぐに手に入り、指一本の動きでしか操作しなくなるからです。
この環境に慣れてしまうと、GAFAの賢い人たちの手のひらの上で動かされるだけの人生になります。単純なシステムを指でなぞったり、画面上の動きに反応することしかできなくなるのです。
スマホやタブレットは、課金したり衝動買いをすることに最適化されすぎています。
じっくりと作業したり、考えながらものづくりをするのには、タブレット型PCは不向きです。
やはり、パソコンでないと厳しいでしょう。それには、さらに深い理由があります。

「スマホで十分」の大ウソ
あるインフルエンサーの人は、「スマホでも動画編集をしたり、絵を描いたり、プログラミングしたり、ワードもエクセルもできる」と語っています。
しかし、そんな彼も、10代や20代で最初にコンピュータに慣れ親しんだ経験は「パソコン」によるものです。
ちゃんとキーボードで操作する環境で育った上で、その経験がベースになっていることで「スマホでも置き換えられる」と言っているだけです。
パソコンに慣れている人は、同じことをスマホでもすることができます。しかし、最初からスマホだけに慣れてしまった人は、パソコンを目の前にすると、途端に何もできなくなります。
物事はつねに「大は小を兼ねる」のです。「我が子にパソコンは早いだろう」と思ってしまっている親は、重大なミスを犯しています。
子どもだからこそ、難しいことからやらせてみるべきなのです。子どもの頃の「好奇心」や「吸収率」は、親の想像をはるかに超えます。
30代や40代以上になってから初めてワードやエクセルを覚えるのとは、覚えるスピードが段違いに異なります。
だから、絶対に子どもにはタブレット型PCを買い与えないでください。YouTubeを次から次へと見ることしかできなくなります。
そうなると、子育てのときは静かになってラクかもしれませんが、その子にとって大事な「じっくり腰を据えて取り組む」というチャンスを奪ってしまうことになりかねません。
ITへのアレルギーがなくなった「僕の体験」
僕は、親に感謝していることがあります。
それは、僕がファミコンを欲しがったときに、なぜかパソコンを買ってきたことです。
その当時は、子どもながらに、「なんでパソコンなんだよ……」と思いつつも、それでも新しい機械を目の前にしたワクワクがあり、好奇心でどんどん操作していくうちに、パソコンやITスキル、プログラミングに対するアレルギーがなくなっていったんです。
やはり「環境」が大事です。与えられた環境の中でしか、子どもは育ちません。
別に、全員の子どもに「プログラマーになれ」「IT業界で食っていけ」と言っているわけではありません。
ただ、これからの時代は何をするにせよ、パソコンでものづくりができるスキルがあると、子どもの才能を開花させる可能性を最大限に引き上げます。
これからは、既存のものやサービスに付加価値を与える方向性でしか、日本は生き残れなくなっていきます。
そういう社会で活躍できる子に育てるためにも、親には正しい選択をしてほしいと願っています。