切り抜き仕事

「他人は変えられらないが自分の機嫌は自分で取れる」ひろゆき切り抜きニュース

 

人は“やらない理由”を作りたがる

――ひろゆきさん自身がどのように働いてきたかも伺えればと思います。プログラミングのスキルがあるというのは、やはりひろゆきさんが成功できた理由なんでしょうか? 

 僕にとってプログラミングができるというのはサブスキルなんです。自分でもっとも得意だと思っているのは、問題解決能力が高いということ。起こっている状況に合わせて、どうすればそのトラブルを処理できるか考えるのが得意なんですよね。

 その問題解決の手段は、目の前で怒っているオッサンを落ち着かせることかもしれないし、プログラムを作ることかもしれない。トラブル処理っていうと、起こったことに対処するネガティブなイメージがあるかもしれないですが、自分で問題を設定することもできるので、目標を実現する能力と、かなり近いと思っています。

――例えば、ひろゆきさんのようになりたいという人がいた場合、アドバイスはありますか?

 僕がそういうことを言ったとして、“やらない理由”を作る人が多いんですよね。例えばサイトを作ろうと思ったら、ググって調べて自分の手でやってみるっていう、至極当たり前のことすらしたがらない人が多い。その作業をする前に『似たようなサイトがあるから、僕がやってもしょうがない』『プログラミングって難しそう』みたいなことを言う。人間って、“やらない理由”はいくらでも作り出せるんです。だから、まずはそういう思考にならないことですかね(笑)。

アルファベットもよく分からないレベルでフランスに

――ひろゆきさん自身は“やらない理由”なんて考えることなく、気づいたらプログラミングを好きでやっていた、という感じなのでしょうか?

 小学校の頃からプログラム自体はやっていました。ただ、Webで使う言語はまたちょっと違うので、2ちゃんねるを作るときは、一からやり直しでしたけどね。でも小学校のときに『コンピュータとはどうやって動くものなのか』みたいな概念を知ることができたので、習得は早かったと思います。

――ひろゆきさんの場合は幼少期からやっていたことが仕事にうまく生かされたパターンだと思うのですが、正直、そういう仕事の原型になるようなものは幼い頃に見つけておかないとダメなのでしょうか?

 どこまでのレベルを目指すかによりますよね。例えばバイオリンで飯を食っていこうと思ったら、9歳くらいまでには始めていないと恐らく難しいじゃないですか。でも、たまにどこかで弾いてお小遣いをもらえればいい、くらいのレベルだったら、別に何歳で始めてもいい。言語も6歳くらいまでに学ぶと、習得が早いといわれてはいますが、21歳で初めて留学して英語を学んだ僕も、一応暮らせる程度には喋れますし。

――現在フランスで暮らしているひろゆきさんですが、フランス語も大人になってから習得されたんですよね。

 はい、フランスもアルファベットがよく分からないくらいのレベルで4年前に行ったんですけど、なんとか暮らせています。ただ逆に、言語が分からなくても仕事はできるというパターンもあると思いますよ。僕、ドイツ語はしゃべれないけど、ドイツの会社に入ってプログラミングの仕事をすることになったら結構できると思うんです。プログラム言語を見れば、大体こう動くとか、何をすればいいかとかが分かるので

他人は変えられない

 ええ、多分留学して、プログラミングのスキルで生きていこうとすると思います。まあ、プログラミングは仮に言語が通じなくても、実力を証明しやすいスキルなので仕事を得やすいんです。

 前編記事(ひろゆきが語る「“天才”と“狂気”を分けるもの」 )で言った村上春樹の話じゃないですけど、作家・ライターさんは、言語が違えばそもそも内容を読んでもらえないので、他の国に行ったら仕事をする難易度は一気に上がりますもんね。でも、本当に自分に日本が合っているかどうかって、日本から出てみないと分からないじゃないですか。

 だから他の社会を見に行こうとすると思いますね。……と言ったところで、あまり人は変わらないと思いますけど(笑)。

――今日話を聞いていて思ったのですが、ひろゆきさんは割と、他人に対して過度の期待をしないスタンスですよね(笑)。

 すごく優秀な人なら、他人を変えることができると思うんです。メンタリストのDaiGo(ダイゴ)さんとか、相手が男子限定ですけど生まれつき美人の人とかは、相手をコントロールしやすい(笑)。でも、大半の人は、普通の人なので、他人の考えを変えることってできないし、失敗するんですよね。

――他人は変えられない……と。

 それを前提にして、目の前の課題をどうクリアするかを考えたほうが、解決する可能性は高いと思うんです。『この人の考えを変化させてコントロールしよう』じゃなくて、『この人の説得は難しい中でどう解決しよう』に舵をとったほうが早いですよね。

 “相手の考えが変わらない”ことを受け入れられれば、じゃあ裏金を渡そうか、それとも脅そうか、とかいろいろな発想が出てくるわけじゃないですか(笑)。例えばの話ですけどね。

オリンピック後を見据えて守りに入れ……!?

――最後に、話の目線を個人から、大きくずらします。今後の日本はどうなっていくか、という大きな質問をさせてください。

 長期的に言うと、人口が減っている国で成長した国は、歴史上ないんです。人口が減っていく国は、だいたい近くの元気な国に占領されて終わる――ということを繰り返している。だから、いかに人口を増やすか、もしくは若い人に教育をして賢くするかというところが重要になってくると思うんですが、この議論ってもうこの20~30年し続けられていますよね。

 平成が終わった今も、変わる気配がないので、そういうことなのかなぁと半ば諦めていますが(笑)。

――割と先行きは暗い、と。

 この間もAbemaTVで落合陽一さんや西田亮介さんといった若手論客の方々と話をしていたんですが、誰一人『日本はうまくいく!』と思っている人がいないんですよ(笑)。 オリンピックまでは景気がいいと思うので、みんな浮かれていると思うんですけど。

 でも、そこで深く考えずに仕事をやめちゃったりすると、景気が悪くなったあとに仕事に就けなくて大変、みたいなことも起こると思うので。守りに入ったほうがいいと僕は思いますけどね。

――フランスで暮らすひろゆきさんとしては『日本はあまりいい国ではない』という認識なんでしょうか。

 いやいや、治安もいいし、ご飯もおいしいし、個人でこの国の中でうまく立ち回れるのであれば、そんなに問題のない国だと思いますよ。でも、この国に生きるみんなが楽しく暮らすためには、国のシステムとして、どうにかしなければいけないところが多すぎるんです。でも、それをすぐ変えられる仕組みにすらなっていない。

――変えられる仕組みでもないというのはどういうことでしょうか?

 山本太郎さんのような変革の意思を持った政治家がひとりいても、法案を作って可決させるには、国会の過半数を押さえないといけないですよね。高齢者に支持される政治家が多数派を占めるという現状は変わりようがないので、仕組みの時点でもう変革は望めないんです。

“海外市場を見据える”必要性はあるのか!?

――経済的な展望はいかがでしょうか? さかんに「海外市場を見据えろ」という人もいますよね。

 個人の給料が上がるかどうかって、売り上げじゃなくて利益率で決まるんです。だからむやみに海外戦略など立てなくても、国内だけでも利益率を高くできれば給料は上がると思います。日本の人口って1億人いるので、良くも悪くも、国内向けに事業をしていれば、それなりな規模になっちゃうんですよね。

――そうすると、海外を向かなくなっちゃうんですかね。

 韓国は5000万人くらいなので、国内向けだけだと成立しないから海外に向けて作ろうという発想になってくるんですよね。例えば、韓国映画は海外でも通用していますよね。でも日本だと“AKBが主演”とかで国内でもそれなりの人数が見てくれる。そうすると、海外の人は誰も見ないような作品でもビジネスとして成立してしまうんですよね。

――映画のようなコンテンツ以外でも、内を向きすぎるのはまずいことなのでしょうか。

 例えば、発泡酒って社会にとって無駄なものですよね。あれ、日本の独自基準に合わせるためにマズイものをわざと作っているじゃないですか。麦を使わないと税金が安くなるという日本の条件に合わせて作られた、ただのマズイ酒ですよね。『消費者は安いから飲むでしょう?』という、ナメたもくろみで内向きに作られていて、『世界に向けておいしいビールを作りましょう』という発想とは無縁のところにある。

 あれを作り続けても技術が進歩するわけじゃないし、無駄な時間を費やしているなあと思ってみていますね。

――確かに内向きすぎるとそういう弊害が生まれますね。とはいえ、日本で生き抜ければそれでいいという考えなのでしょうか。

 ええ、僕自身が海外にいて言うのもなんですが、無理に海外に出ていく必要はないと思っていますよ。海外を全く知らなくても、日本の文化圏の中で、微妙な差を嗅ぎ取って、そこでマーケティングセンスを発揮して日本人からお金をとって暮らす。それでも売上規模としてはそれなりになりますから、この先30~40年は暮らせると思います。

 

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